園芸用語：自家不和合性

園芸用語：自家不和合性

自家不和合性とは何か

自家不和合性とは、同じ個体の花粉と子房が結合して種子を生成することができない現象のことです。この現象は、植物が近親交配による遺伝的多様性の低下を防ぐための適応であると考えられています。

自家不和合性には、花粉を拒絶するタイプと、子房を拒絶するタイプの2つのタイプがあります。花粉を拒絶するタイプでは、花粉が子房に到達すると、花粉管の成長が阻害されます。子房を拒絶するタイプでは、花粉管が子房に到達しても、受精が成功しません。

自家不和合性は、多くの植物種で観察されており、植物の繁殖に重要な役割を果たしています。自家不和合性があることで、植物は近親交配による遺伝的多様性の低下を防ぎ、適応能力を高めることができます。

自家不和合性のしくみ

園芸用語自家不和合性
・自家不和合同一個体やクォーン内のセックスを異にする2つのスポロファイト（生殖器をもつ有性生殖を行う植物の個体）間で受精が阻害されること。
・自家不和合のしくみどの2つのスポロファイト間で自家和合かまたは自家不和合かが起こるかを決定する方法は生殖様式ではなく、2つのスポロファイト間にある特定の対立アレル、およびそれらをコードするゲノム領域（不和合性座位）の相対性である。

自家不和合のしくみ
・自家不和合性は、単一または複数の不和合性座位が関与する自己受精の阻害であり、その結果、部分的なまたは完全な花粉発芽と花粉管の阻害、または植物の純たわごとと呼ばれる受精後の射精子が形成されないと発生した状態のいずれかが起こる。
・不和合性は、交配するために入口が似た植物が、より互いに隔離された植物よりもほとんどの交配種でより頻繁に、およびより高い周波数でみられることによって、自然に観察される。

自家不和合性のメリット・デメリット

園芸用語自家不和合性

自家不和合性とは、植物が自分自身の花粉で受粉しても実がならない現象です。自家不和合性は、植物が近親交配を避けるための仕組みです。近親交配は、遺伝的多様性を失わせ、植物を病害虫や環境の変化に弱くします。

自家不和合性のメリット

自家不和合性には、以下のようなメリットがあります。

* 近親交配を避けることで、遺伝的多様性を保持する。
* 病害虫や環境の変化に強い植物を育てる。
* 新しい品種を育てる。

自家不和合性のデメリット

自家不和合性には、以下のようなデメリットがあります。

* 自家受粉ができず、結実率が低い。
* 人工授粉が必要な場合がある。
* 新しい品種の育成が難しい。

自家不和合性を利用した品種改良

自家不和合性を利用した品種改良

多くの植物は、同じ個体の花の雄しべと雌しべが受粉しても受精しない自家不和合性を持っています。これは、近交によって劣性形質が現れることを防ぐためです。しかし、自家不和合性を利用して、新品種の作出を行うことができます。

自家不和合性の植物では、雄性と雌性の株を交配すると、雑種第一代（F1）はすべて自家不和合性になります。このF1の株を自花受粉させると、自家和合性（同じ個体の花の雄しべと雌しべが受粉しても受精する）の株と自家不和合性の株が分離します。自家和合性の株は、近交によって劣性形質が現れる可能性が高いため、品種改良には使用しません。一方、自家不和合性の株は、親株と同じ形質を維持しているため、品種改良に適しています。

自家不和合性を利用した品種改良は、果樹や野菜などの園芸作物で行われています。果樹では、自家和合性の品種は受粉樹を必要としませんが、自家不和合性の品種は受粉樹が必要になります。そのため、自家不和合性の品種は受粉樹を必要としない自家和合性の品種よりも栽培が難しいとされています。しかし、自家不和合性の品種は、近交によって劣性形質が現れることを防ぐことができるため、品質の高い果実を生産することができます。

自家不和合性を克服する方法

「自家不和合性を克服する方法」

自家不和合性は、植物の受粉機構の一つで、自家受粉により種子ができにくくなる仕組みです。これは、自家受粉によって劣性遺伝子が集中し、子孫の生存率を下げることを防ぐためです。自家不和合性を克服するには、いくつかの方法があります。

1. 人工授粉自家不和合性のある植物に、他の植物の花粉を手作業で受粉させる方法です。これにより、異なる植物の花粉と自家受粉した植物の花粉が競合し、異なる植物の花粉が受粉する確率が高くなります。

2. 品種改良自家不和合性のない植物を育種する方法です。これにより、自家受粉による種子の生産量を増やすことができます。

3. 遺伝子組み換え自家不和合性に関わる遺伝子を組み換えることで、自家不和合性を解除する方法です。これにより、自家受粉による種子の生産量を増やすことができます。

4. 結実促進剤の使用自家不和合性を軽減する結実促進剤を使用する方法です。これにより、自家受粉による種子の生産量を増やすことができます。

5. 近交弱勢を軽減する近交弱勢とは、近縁の個体同士の交配によって生じる劣性形質の出現頻度が高くなる現象です。自家不和合性のある植物では、近交弱勢が起こりやすい傾向があります。近交弱勢を軽減するには、交配相手の選択や交配方法に注意する必要があります。